ピ−プルは、いわゆるベンチャ−型企業です。ベンチャ−企業とは研究・開発・能力の集約的発揮を意図する新規企業をいうのだそうです。それなら、何も今にはじまったものではありません。昔からある出版社や映画のプロダクション、ファッションの開発会社等は、皆、ベンチャ−だし、ウォルト・ディズニ−は近代的ベンチャ−のはしりといえます。私たちは、それを玩具でやっています。


 私たちの重要なテ−マは「ビジネスとして有意な違い」を創りだすことです。だから商品だけでなく生産・販売・マ−ケティングなどのシステムの研究開発にも熱心に取組んでいます。かくして「違いのある商品と違いのある販売」がピ−プルのキ−ストンフレ−ズになりました。


 一方で、オぺレ−ションに関しては違いを出さない教科書通りを心がけています。すなわち、経理は公開主義で、株式は上場して独善を排し、会計・税務・法務・人事は外部の専門家のご意見を聞いて運営してきました。「欺かない・貪らない・侮らない」は、企業が健全に長続きして継承されて行くことを望んでいるピ−プルの経営姿勢です。


 こうして、創業から20余年が経ち、昨年はプレスク−ルの子供達延べ300万人の手に、ピ−プルのおもちゃが届けられました。子供との新しい関わり方を提案する方法として玩具以外の表現が有効であれば、これからは例えば映像をやることにもなるでしょう。でも、ピ−プルはベンチャ−型企業として主流・最大を目指すのではなく、「新しい風」を吹き込むことができる前衛企業であり続けたいと考えています。


 ベンチャ−は人だけが資産の事業です。勢い、才能やひらめきや僥倖に左右されがちです。才能らしきものを持たない私達がピ−プルにかけるささやかな夢は、ある朝突然授かるかもしれない神の啓示や天才の登場に頼らずに、おもちゃと人間が好きな普通 の人たちの手で、優れた創造をコンスタントに産み出してゆく企業システムの開発なのです。